技術コラム

JHIの社員がつづる、
テクノロジーコラムです。
ホース配管製品の製造やそれに関係する技術について
書き留めたコラムです。

その他

Convoluted Hose(コンボリューテッド ホース)について

Convoluted(コンボリューテッド)という言葉は、あまり聞き慣れない単語かもしれませんね。
辞書で調べてみると、“複雑” “難解な” “回旋(廻旋)状” “渦巻き状”というような訳語が出てきました。
“難解で込み入った説明” や “回旋(廻旋)状・渦巻きの形状や動作”などを表現する時に使う単語と考えて良いかと思います。

ホースの場合で考えると、形状が回旋(廻旋)状、渦巻き状になっているということになります。
下の写真は、BMRS社のConvoluted Hoseについてカタログから抜粋したものです。いわゆる”蛇腹”のような形状をしていますが、よく見ると山と谷の部分が螺旋階段のように回旋(廻旋)状になっています。
回旋(廻旋)という言葉を辞書で調べると、”ぐるぐる回ること“、または“アサガオなどの植物の茎が支柱などに巻きつきながら伸びていくこと”と書かれていました。これは、非常にわかりやすい説明ですね。

“蛇腹”についても、少し考えてみました。色々な製品に使われていて、意外と身近なところに存在していますね。
例えば、洗濯機の排水ホースや掃除機のホース、折れ曲がるストローなども蛇腹ですし、楽器のアコーディオンも蛇腹です。
また、“蛇腹“形状の工業製品として、”Bellows(ベローズ)”とか、”Corrugated (コルゲート)“という単語を付けて呼ばれることもあります。
例えば、ベローズバルブとかコルゲートチューブなどが一例です。
“Bellows(ベローズ)”は、そのまま”蛇腹”と訳されることが多いですし、”Corrugated(コルゲート)”は波型とか、ひだが付いていると訳されるようです。
これらの“Convoluted(コンボリューテッド)”、”Bellows(ベローズ)”、”Corrugated(コルゲート)”と、3つの単語について共通するキーワードは、どれも“柔軟性(Flexibility)を必要”としているところに使われるということです。

Convoluted Hose (コンボリューテッド・ホース)に話を戻しますが、このホースが持っている一番の優位点として挙げられるのは、軽量であること、そして何よりも高い柔軟性です。
同径のラバー製ホースと比較しても、非常に軽量で、ホースの最小曲げ半径はラバー製ホースの半分程度です。

素材としては、PTFEという材質がよく使われます。PTFEは、ポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Ethylene)というフッ素系樹脂のことで、テフロン®という名称で聞くことが多いと思いますが、これはデュポン社の商品名です。最初に商品化に成功したこともあり、このテフロン®という言葉が一般的には知られることになったのかと思います。
PTFEは、耐熱性、耐薬品性にも優れていて、パッキンや絶縁材など様々な工業部品はもとより、フライパンの表面コーティングなど、家庭で使われる製品などにも多く使われています。

帯電防止性能(Static Dissipating)が要求されることも多く、素材にカーボンなどを加えている物もあります。
ホースの中を流体が通ることで発生した静電気が悪さをして、安全性を損なうことを防止するためです。
また、一般的にはブレード(Braid)と呼ばれる補強材でホースの外側が覆われています。
ブレード(Braid)はステンレス・ナイロン・アラミド繊維などの素材を編み込んだ物で、用途によって使い分けされます。

Convoluted Hose(コンボリューテッド・ホース)は、軽量で柔軟性が高いことは利点ですが、さらに高い圧力で使用する場合には ”Smooth Bore Hose(スムースボア・ホース)” と呼ばれるタイプを使います。ホース内面が文字通りスムースな直管形状をしていて、柔軟性はやや落ちますが高圧に耐える形状になっています。

Convoluted Hose(コンボリューテッド・ホース)・ Smooth Bore Hose(スムースボア・ホース) どちらのタイプを選ぶのかは、必要なホースのサイズ、流体の種類、圧力、温度、などの条件に照らし合わせて、最適なものを選定する必要がありますし、ブレード(Braid)もステンレス・ナイロン・アラミド繊維などから選定することが必要です。

ホースの選定について色々と悩むところも出てくると思いますが
何かお困りの事等ありましたら、お気軽にお問合わせください。

お問い合わせ https://www.jhi.co.jp/contactus/

BMRSカタログより抜粋